『Lost and Found vol.4』 おわりに
おわりにーこの小冊子について 中村寛 そしてその年だった……詩が訪れたのだ 私を求めて。どこからかは、わからない 冬の季節からか、川の流れからか。 どうやってか、いつだったのか それは声ではなく、 言葉でも、静寂でもなかった けれども街路から私を呼んだ...
『Lost and Found vol.3』 はじめに
はじめにーこの小冊子について 中村寛 四月に口をひらき 声のない喉に 羽をもだえ巣作るものは 背姿ふかくコンビナートの幻崩れ 手の都市へのつまずき 脚は藁の牢獄の窓わくをにぎる 聴け 四月に口をひらき 無声の意味ふるえる四肢は 自然と工業をつらぬく河のほとり...
『Lost and Found vol.2』 はじめに
はじめにーこの小冊子について 中村寛 万有引力とは ひき合う孤独の力である 宇宙はひずんでいる それ故みんなはもとめ合う 宇宙はどんどん膨らんでゆく それ故みんなは不安である 二十億光年の孤独に 僕は思わずくしゃみをした (谷川俊太郎「二十億光年の孤独」) 一. ...
『Lost and Found』 まえがき
まえがきーこの小冊子と人間学工房のこと 中村寛 言葉なんかおぼえるんじゃなかった 日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる ぼくはきみの血のなかにたったひとりで帰ってくる (田村隆一,「帰途」『言葉のない世界』)...